気象庁は7月22日、九州・山口地方が梅雨明けしたとみられる、と発表した。これまで梅雨期の九州・山口は、毎年のように洪水や土砂災害が繰り返されたが、今季は多数の犠牲者が出るような深刻な被害は避けられた。その背景にあるのは、甚大な被害をもたらす「線状降水帯」の動向だった。
今年の梅雨期間は、鹿児島県と宮崎県の「九州南部」が6月8日~7月16日、そのほかの九州5県と山口県の「九州北部地方」が6月17日~7月21日で、どちらも平年より短めだったが、期間中の総降水量を比べると、九州南部が平年比で121%、九州北部地方は137%と、雨量は多かった。
大雨のピークは4回あり、6月20日からの鹿児島県、7月1日からの山口県と福岡県、10日からの山口県、14日の長崎県で集中的な降雨が見られた。
このうち3回目の山口県では、7月11日未明に2回の「記録的短時間大雨情報」が出て、洪水と土砂災害の危険度が急激に高まった。
だが、短期間に多く降ったものの被害は少なかった。背景には何が考えられるのか。福岡管区気象台予報課の小川浩司調査官は「同じ地域に大雨が集中しなかったため」と分析する。特に注目するのが、線状降水帯の発生状況だ。
昨年は、7月10日未明の短…